PUL(前立腺部尿道吊り上げ術)とは、2022年4月に上市された前立腺肥大症に対するMIST(低侵襲外科的治療)と呼ばれる比較的新しい術式のひとつである。本邦では2024年におよそ2200件が施行され、手術全体の約6%を占めている。一方、アメリカでは約23%を占めており、ゴールドスタンダード手術といわれるTURP(約33%)に次いで多い術式となっている。
下図のように、内視鏡下で見えるデバイスの先端は約6mmである。これをメルクマールとして、膀胱頸部より約15mm遠位側と精丘付近の2時と10時に左右1針ずつインプラントする(anterior channelの作成)。注意点として前立腺が膀胱内へ突出(IPP: Intravesical prostatic protrusion)している場合、その長さ分を15mmに加算して、膀胱内へインプラントしないことが重要である。前立腺部尿道が短い場合には、膀胱頸部より約15mm遠位側の2時と10時に加え、1時と11時にインプラントを追加してもよい(stacking)。逆に、前立腺部尿道が長い場合には、2時と10時の側葉に追加してもよい。PUL成功の秘訣は、膀胱頸部から精丘付近まで前立腺部尿道のanterior channelをしっかりと作成することである。

2026年4月に改訂された適正使用指針第2版では、前立腺肥大症(BPH)に伴う下部尿路機能障害を呈する症例、男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドラインに記載のある前立腺肥大症に対する手術療法の適応である症例、①薬物療法の効果が不十分、②中等度から重度の症状、③尿閉・尿路感染症・血尿・膀胱結石などの合併症がある(または危惧される)症例が対象となっており、前立腺体積が100mLを上回る症例(確実なインプラント留置が行われない可能性があり使用しないこと)、尿路感染症下、もしくは視野を妨げる著明な血尿を有する症例は対象外となっている。
また、前立腺体積が30~80mLの側葉肥大症が推奨されており、中葉肥大症例に対しては側葉肥大症例の手技に習熟した上で適応を決定する。最近では中葉や側葉をより圧迫しやすいATC(Advanced Tissue Control)システムも使用可能となっている。

